水の汲めない杓子
乙亥正屋敷廻遺跡(鳥取市鹿野町乙亥正)で、3世紀前半頃に埋没した流路から出土した杓子です。この杓子は底に2つの孔があり、水が汲めません。同様の遺物は青谷上寺地遺跡(鳥取市青谷町)にも見られます。
現在でも幽霊船の難を逃れる伝承や安産祈願で底の抜けた柄杓を神社に奉納する風習が知られており、杓子の底に孔を開けたのは実用的な機能だけでなく、魔除けや祈願などの意味があったのかもしれません。海を介した交流が盛んに行われた可能性が高い乙亥正屋敷廻遺跡と青谷上寺地遺跡に通じる興味深い民俗例と考えられます。