画面構想を示す素描
留学先のパリで前田寛治は、郷里の旧友でマルクス主義を研究していた福本和夫と接する。福本の唯物史観に触れ、前田は自身にとっての「写実」論を深めていった。《ものを喰う男》は当時冤罪事件で投獄された移民に関心を寄せていた時期に制作され、独房で質素な食事をする男性を背面観で捉えているとされる。下絵の素描と本画を見比べると、構図はほぼ一致しているが、本画では男性が一層低い姿勢にされており、その極端に丸められた背からは世の不条理が滲み出てくるようである。
前田寛治《ものを喰う男》(素描)
留学先のパリで前田寛治は、郷里の旧友でマルクス主義を研究していた福本和夫と接する。福本の唯物史観に触れ、前田は自身にとっての「写実」論を深めていった。《ものを喰う男》は当時冤罪事件で投獄された移民に関心を寄せていた時期に制作され、独房で質素な食事をする男性を背面観で捉えているとされる。下絵の素描と本画を見比べると、構図はほぼ一致しているが、本画では男性が一層低い姿勢にされており、その極端に丸められた背からは世の不条理が滲み出てくるようである。