岡益の跳ね馬?
今を遡ること約30年、岡益の丘陵上で、謎の石造物として知られる「岡益の石堂」との関係を明らかにすることを目的の一つとして開始した「岡益廃寺跡」の発掘調査。群がってくるヤブ蚊以上の大敵となって調査の進行を阻んだものがあります。それは、次から次へと現れてくる大量の瓦でした。
北側斜面部の調査では、後世にまとめて捨てられ厚く堆積した瓦と悪戦苦闘。掘り進めるためには瓦を取り上げなければなりませんが、持ち帰る量は相当なものとなり、洗浄や注記が追い付かないだけでなく、置き場にも苦慮することに・・・
そんな中、調査も進み、整理作業も何とか軌道に乗ってきたある日。作業を指導してくださっていた大先輩から「瓦に絵が描いてあるよ」と一言。言われるがままに確認してみると、前足を少し蹴り上げたように見える「馬」と、その左側に人名と考えられる「 (麻か?)麻呂」、右側に「人」「大」「方」と読める文字が刻まれた瓦が他の物とは別にして置いてありました。苦労の末に持ち帰った大量の瓦の中から見つかった一枚でした。
さて、刻まれた馬や人名には特別な意味がある訳ではなく、この瓦を作った職人か寺の造営に関わっていた人がいたずら描きとして刻んだ、いわゆる「戯画」にすぎないものですが、想像を膨らませば、「 麻呂」さんが、「飛躍」や「出世」を願って跳ね馬を描いた瓦をお寺に奉納したという物語が見えてきませんか?