スタンプ文土器
スタンプ文とは、土器の文様の一種で、スタンプ状の器具を土器の表面に押し当ててつけます。この遺物は鳥取市鹿野町の乙亥正屋敷廻おつがせやしきまわり遺跡で出土した、弥生時代後期前葉から中葉(約1900年前)の土器です。5種類の文様で飾られ、文様や沈線のくぼみに赤い顔料が残っていることから、当初は全体が赤く塗られていたと考えられます。  3種類のスタンプ文が押されていますが、最上段と下段には銅鐸のちゅうに付く飾耳かざりみみの様な形をしたスタンプ文が確認できます。このスタンプ文はこれまで調べてきた限り、この土器と青谷上寺地あおやかみじち遺跡例でしか見たことがない、珍しい文様です。  スタンプ文は山陰だけでなく北陸などにも事例があります。山陰からは遠く離れた北陸ですが、実は弥生時代には玉作り、花弁状の陽刻のある木製高杯、四隅突出型墳丘墓よすみとっしゅつがたふんきゅうぼなど、山陰と共通する遺物や文化がいくつか見られます。スタンプ文もそのひとつで、石川県小松市の佐々木アサバタケ遺跡で出土した台付装飾壺だいつきそうしょくつぼは山陰の台付装飾壺とそっくりで、両者の交流が伺えます。