山陰最古級の農具
本高弓ノ木遺跡は、鳥取市本高に所在する縄文時代から近世にかけての遺跡です。少し地面を掘れば水が湧いてくる低湿地遺跡であり、各時代の木製品が数多く出土しています。
中でも、縄文時代から弥生時代への移行期(約2,900~2,400年前)に存在した河川跡から、数多くの伐採された木材が見つかり、貯木場として使われていたと考えられます。この河川跡から木製の鍬先が見つかりました。
鍬先は、硬いアカガシ亜属の木材からつくられており、柄を差し込む孔の周りの隆起が高いことが特徴です。また、刃先には穴があいており、刃先の縦割れを紐でしばって補修して使用したものと思われます。
実はこの河川から出土した木製農具はこの鍬先だけで、地面を掘る道具としては、石製の掘り具(打製石鍬)の方が数多く見つかっています。弥生時代初期にあたる当時の最新技術でつくられた木製鍬先は数少ない貴重な道具であり、補修までして大事に使われ、その最後も再利用を目指して、貯木場に持ち込まれたのではないかと思われます。縄文時代から弥生時代への過渡期の様相を表している重要な資料と言えるでしょう。